異常検知の手法に関して

AI導入支援のお手伝いを行っている中で、製造業様からのご依頼内容として異常検知に関するご相談が含まれる事が多くあります。少し、異常検知という課題に対応する際のフローに関しお話させて頂きたいと思います。

まず最初にお話をさせて頂くのは、設備等の異常に関して一番多くの知見を有して居られるのは熟練作業者の方々なハズなので、想定される異常事象に関し作業者の方々と会議してみる事をお伝えしています。それだけで定期保全レベルの事前対応で解決できる事象が有ると思います。打ち合わせ時には下記ポイント等を意識して進める様にしましょう。

  1. 異常事象と考えている内容を、具体例を提示しながらリストアップする。
  2. 突発的な異常が発生してしまう事で発生する事後処理内容や、各種損失を共有する。
  3. 上記でリストアップした異常事象に対して、予兆を感じた事が無いか? 直接的で無くとも気になる事が無いか?議論を行う。

とても当たり前の事を書いていますが、ここで重要なポイントは2点。 1つ目は「異常事象」を共有する事です。これまで異常とは感じていなかった可能性があります。事後発生してしまう無駄作業も含め共有しましょう。 次のポイントは予兆も含め、普段の作業時に感じている事を言語化するのは、あまり得意では無いという事です。ファシリテーナー役の人を準備し議論の活発化と言語化サポートを行えれば最高です。 最終的には感じている事を見える化出来れば良いのですが、見える化する為の各種センサー類の話や、記録すべきデータに関しては、データ分析の共通課題となりますので、その際の課題点なども含めまたの機会に譲ります。

では、少し話が飛躍しますが、今回は気になる現象をとらえる事が出来るかもしれないデータの取得と準備が出来たとしましょう。ここからが今回のテーマです。

「異常とは、正常という概念から大きく逸脱した観測結果である」という事です。仲間はずれを探すと考えれば良いかと思います。用意したデータから各種データ分析手法を用いながら分析を進めて行く事になります。仲間はずれを決める際の指標の違いが横軸で、モデルパラメータの複雑さを縦軸にレイアウトした表が下記となります。(ザックリ、下の方が古典的な統計手法・上部が深層学習)

  1. One-Class Classification Model
    • 正常データが属するクラスの決定境界を引き、その外部にあるデータを異常とみなす。
  2. Probabilistic Model
    • 正常データの確率分布を推定し、低確率領域にあるデータを異常とみなす。
  3. Reconstruction Model
    • 正常データを復元するようにモデルを学習し、うまく復元できないデータを異常とみなす。
  4. Distance Model
    • 同じクラスは近くに、異なるクラスは遠くになる様に学習し、集約クラスからの距離により異常とみなす。

上表は、与えられたデータに対し、どの様な処置を実施しているか?を模式的に表現してくれているデータですが、ShallowであろうがDeepであろうが、やっている事はほぼ同じだなと分かります。なので熟練者の経験から関連があるのでは?と考えたデータ(x)だけから古典的な統計手法を用いた分析を行えば、合格点は出せる様に思います。

なので、使えるかどうか不明な高分解能なデータ類を大量に記録しDeepな計算をさせて答えを求める前に、これまで培ってきた自社のノウハウを生かせば改善につなげる事が出来るというお話でした。

異常検知に限らず、熟練作業者からの技能伝承なども言語化(見える化)がキーポイントになる様に感じています。既存の古い製造設備等に後からICセンサーを取り付ける改造なども3Dプリンター部門で実施しております。

また、各種生産設備の設計やシステム制御の開発を行ってきた経験を活かした業務改善全般に関するコンサルティングを行っております。特に中小製造業様にてDX対応を検討する際、何から始めれば良いのか?ご不明な点が多いかと思います。弊社で実施しております実例なども踏まえ、御社に最適な解決案をご提示させて頂きます。お気軽にお問合せください。

関連記事

PAGE TOP